この記事は、物販アフィリエイトの実践録です。

 

販売店とは直契約なので、

ASPを介すアフィリエイトではありません。

 

ただ、売上に応じて報酬をもらう、という意味では

本質的にアフィリエイトと同じです。

 

結論を先にいうと、物販アフィリエイトは、

分野を相当絞り込まない限り、儲りません。

 

これまでの経験から、この結論に至りました。

 

ただ、実践の過程で得られた「気づき」はとても貴重で、

これから物販アフィリエイト、あるいは物販そのものをする人には

参考になるかもしれません。

 

 

まずはサイト紹介

 

はじめにサイトを紹介します。こちらのサイトになります。

 

中古厨房機器.net

http://www.chubo-kiki.net/

 

chubo-kiki

 

 

全国の中古厨房機器の販売店が商品を出品できる

「ショッピングモール」になります。

 

例えるなら、厨房機器に特化した楽天みたいなものです。

 

厨房機器に馴染みのない人も多いかと思いますが、

業務用の冷蔵庫や、製氷機、フライヤーなど、

飲食店の厨房で使われるさまざまな機器です。

 

もともと多くの中古厨房機器の販売店と交流があったなかで、

「自社サイトにSEOを施して、販売面の支援をしてくれないか?」

という相談を複数の販売店から頂いていたことが、

サイトを作成したきっかけです。

 

内部事情ですが、自社は、

外注含めても少人数・最小限の体制なので、

1社ずつ対応していては身がもちません。

 

個別対応は効率も悪いです。

 

悩んだ挙句、考えついたのが、

「ショッピングモール」という構想です。

 

これであれば、SEOも1サイトですみます。

そして、ショッピングモールにすることで、

各販売店に大きなメリットが生じることが期待できました。

 

これについては後述します。

 

どうやって作ったのか?

 

「モール」という構想は決まったものの、

サイト作成には少し手こずりました。

 

簡単な物販サイトであれば、

カラーミーをはじめとしたパッケージを使えば事足ります。

 

しかし、モールでは、

各販売店がそれぞれのID・パスワードを使ってログインし、

商品登録・在庫管理することになります。

 

いろいろ探したのですが、良さそうなものはなく、

最終的に、ゼロからプログラムを組みました。

 

ただし、機能を最小限に絞りこみました

これはサービスを立ち上げるときの鉄則です

 

そうすることで、

サービスの立ち上げ時間を短縮して、

さっさとリリースして、

お客さんの反応をみながら必要な修正を加えることができるからです。

 

例えば、このサイトは、

面白いことにショッピングカートを付けていません。

問合せフォームと、問合せ用の電話番号のみです。

 

複数の販売店の担当者から、

「中古の厨房機器をネットでみて、そのまま買う人はクレームになる傾向がかなり強い」

「一度メールや電話で問合せしてもらったうえで決めてもらった方がよい」

という話を聞いていたからです。

 

業界特有の事情ですが、

こういった話を聞きながら機能を最小限に絞り込みました。

 

 

リリース後、どうだったのか?

モール全体の売上推移を具体的に示せれば、

いちばん分かりやすいのですが、

さすがにそれはできません。

 

Analyticsのデータ公開はGoogleの見解がよく分からないので、

GRCのデータを公開します。

(クリックすると、拡大されます。)

 

grc

 

この業界で、いわゆるビッグワードである

「中古 厨房機器」「厨房機器 中古」

の検索順位の変動です。

 

ご覧のとおり、2014年4月のリリース以降、

長らく低迷していました。

 

ただ、2015年になった頃から順位もかなり上がってきて、

あわせてCV率が高い各ロングテールワードでも

アクセスが増えてきました。

 

その他いろいろな施策が功を奏し、

問合せや注文が増えました。

 

細かいノウハウは置いといて、

物販サービスを提供するうえで重要と思われるポイントと

このサイトのSEOで有効であったポイント

をそれぞれ2点ずつ紹介します。

 

物販のサービスを提供する上で重要なポイント

 

ポイント1 物販は商品数が命

物販をされている方には当たり前ですが、これはとても重要です。

商品数が少ないと、アクセス自体集まりません。

商品数が2桁、3桁のレベルでは正直かなり厳しいです。

 

そもそも、今回モールという形をとった最大の理由は

この商品数を確保するためでした。

 

小規模な販売店単体では、

どうあがいても、販売力を強化するには難がある

と考えていました。

 

克服するには、販売店が集結し、1つの共同体として、

自分たちを大きく見せる必要があると。

 

実際、モールにしたことで、

「このサイトを訪れれば、ある程度探しているものが揃う」

という印象をユーザーに与えることができ、リピーターが増え、

異なる販売店の商品をまとめ買いしていく人も現れました。

 

販売店が集結したことにより、各販売店の販売力が上がったわけです。

 

ポイント2 物販では人気(ひとけ)が大切

当初、このサイトは価格.comのような、

シンプルで、綺麗な見た目を目指していました。

 

ただ、アクセス数の割に反応が薄かったので、

知り合いのWEBコンサルタントにみてもらったところ、

「人気(ひとけ)が足りない」

という指摘をもらいました。

 

半信半疑ながらも、販売店から人物写真をもらい、

画像を中央のメインバナーに配置し、

サイト全体にも「にぎやか感」をだし、印象を大きく変えました。

 

結果、問合せ率が跳ね上がりました。

 

 

物販のSEOで重要なポイント

 

ポイント1 やはり商品数が重要

SEOでも重要なのは商品数です。

というのも、商品数が多いことが、そのまま、

ユーザーの直帰率の減少、滞在時間の増加、セッションあたりのPV数の増加

等につながり、サイト全体の評価を上げることにつながったと思われます。

 

これはリアル店舗でも同じですね。

品数の多い専門店がユーザーから支持されるのはきわめて自然です。

 

ポイント2 良質な被リンク

被リンクの重要性については、SEOを知っている人には当たり前です。

 

当たり前なのに、ここにあえて書いたのは、

モールという「中立的な立場」をとったことにより、

スムーズに、各販売店から良質なリンクが集まったからです。

 

さらっと書きましたが、

業界内でライバル関係にある複数の販売店からリンクをもらうなんてことは、

なかなか実現できないことだと思います。

 

サイトの「立ち位置」を、

各販売店と競合するものではなく、

販売店と共存するもの(=モール)に定めたからこそ、

実現できたことだと思っています。

 

現在、このサイトは、ビッグワードはもちろん、

ロングテールのワードでも安定して上位表示され、

販売店の売上に貢献しています。

 

物販アフィリは儲かるのか?

「物販アフィリエイトは儲かるのか?」

と興味をもっている方も多いでしょう。

 

個人的な意見としては、

物販アフィリエイトで100万円単位の利益をだすのは、

かなり難易度が高いです。

 

今回紹介したサイトも、

利益100万円の壁を超えるどころか、

壁が遠くて視界に入ってこない状態です。

 

ASPを介したアフィリエイトの場合は、

通常は、売上の1~数%程度が報酬かと思いますが、

今回紹介したサイトは直契約なので5%です。

 

ヤフーショッピングでも、販売店に課せられる手数料は実質5%程度なので、

同程度におさえています。

(無料出店と謳われていますが、実際はこれくらいの手数料が発生します。)

 

他の大手モールでは、5%どころではすまないところもありますが、

少なくともこの分野で、5%より高い手数料率を設定すると、

中長期的にみて、主役であるはずの販売店が疲弊してしまいます

 

5%の手数料ということは、

月100万円の手数料を得るには、月間2,000万の売上が必要になります。

 

残念ながら、この業界の販売店の多くを束ねても、

この数字にはそう簡単には届きません。

(あくまでもネット経由で売れる数字で、店頭ではどの販売店も相応の売上があります。)

 

ただ、このサイトを通じて販売店に貢献することで、

販売店との関係性を強化できますし、

また、こういったサイトを運営していることが、

この業界で営業をかけるうえで強力なツールになるので、

サイト運営に数字以外のメリットを感じています。

 

どうすれば儲かるのか?

話が長くなりましたが、

物販アフィリエイトに挑戦するのであれば、

「手数料率が突出して高い分野」(例えば、化粧品や健康食品など)や

「単価が数十万円以上するもの」(高級ブランド品や車など)

に限定することをおすすめします。

 

そうしなければ、

運営側が100万円単位のまとまった利益をだしていくのは厳しいでしょう。

 

どの程度利益がのぞめるかは、

事前にきちんとシミュレーションしておけばある程度分かるので、

最後に、簡単なシミュレーション方法を2つ紹介します。

 

いずれの方法も、成果報酬型のモデルで、

売上 × 手数料率

がこちら(広告媒体側)が得られる報酬というのが前提です。

 

方法1 アクセス数からシミュレーションする

1つ目は、アクセス数からシミュレーションする方法です。

 

通販の場合、サイトを訪れた人が商品を購入する割合は、

1%にも満たないことが多いと思います。

ここでは、この割合を0.5%とします

 

ASPを介したアフィリエイトであれば、

(自サイトのアフィリエイトリンクのクリック率)×(広告主側サイト移動後のコンバージョン率)×(最終的に確定する承認率)

がこれにあたります。

 

仮に、手数料率を5%、客単価を10万円とすると、

1日1,000人のアクセス数を集めると、

1,000(人)×0.5(%) = 5(人)

が実際に購入し、報酬として媒体側がもらえるのは、

5(人)×10(万円/人)×5(%)=2.5(万円)

です。つまり月間にして、80万円弱です。

 

購入する割合を0.5%、手数料率5%として計算していますが、

それでもこの程度の数字にしかなりえません。

現実はこの数字にも及ばないケースが多々あるかと思います。

 

客単価を20~30万円以上にするなり、手数料率を10%あるいは15%以上に

しないと、1日1,000人以上のアクセスを呼び込むサイトを作成し、

運営していく労力に対して割が合わないです。

 

方法2 販売店の売上構成からシミュレーションする

2つ目は、販売店の売上構成からシミュレーションする方法です。

 

例えば、

月間1千万円の売上があるお店を支援して、

現状、店全体で2割のネット経由の売上を、5割までもってくるとします。

 

割合

 

ネット経由で新たな顧客を開拓するので、店頭販売は変わらないと仮定します。

 

そうすると、

(支援前の売上)

店頭販売: 800万円、 ネット販売: 200万円

(支援後の売上)

店頭販売: 800万円、 ネット販売: 800万円

となり、売上の増加分は、単純計算で600万円です。

 

手料率を5%とすると、手数料は月30万円です。

 

今回のように複数店舗相乗りのモール型であれば、

単純計算して、30万円×店舗数、が取り分になります。

 

事前に店舗からヒアリングした売上等の数字をもとに、

自分で仮説をたてて少し計算すれば、

実行する前にある程度の見通しはたつでしょう。

 

 

以上、2通りのシミュレーション方法を紹介しました。

取り組み前に一度試算してみて、本当に取り組む価値があるかどうか、

見極めてください。

 

簡単な方法ですが、おおまかな数字をつかむことはできるので、

意外と有効です。

 

なお、この記事内容は、すべての物販の分野に

当てはまるわけではありませんのでご注意ください。

 

物販といってもさまざまなジャンルがありますので、

あくまでも一つの事例としてとらえて、

考え方を参考にしてみてください。

 

単品通販の場合、

商品ページをセールスレターのように作り込むことで、

サイトを訪れた人が商品を購入する割合を

5~10%まで引き上げることができるケースもあるようです。

もちろんそれなりにブランド力のある商品が前提です。