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売主が突然ライバルに変身!?サイト売買に潜む罠(事例付)

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ライバル

興味深い事例を目にしたので、今回はサイト売買における「競業禁止規定」について説明します。

何だか難しそうな言葉だなと思われたかもしれませんが、大して難しくありません。少しお付き合いください。

「競業禁止規定」とは?

この規定は売主に対して課せられるもので、サイト売却後一定期間、売却したサイトと似たようなサイトを売主が作成・運営することを禁止しています。

契約書では、
「事業譲渡後●年間、甲(=売主)は、本件事業名及び本件事業名類似の事業名での商行為、ならびに対象サイトに類似したサイトの制作及び運用を行わない。」
といった感じで謳われます。期間は3年から5年程度が一般的です。

売主がサイト売却後に、同じサイト名で別サイトを立ち上げたり、サイト名は違っても同じジャンルのサイトを立ち上げたりすることは、買主にとって脅威でしかありません。

売主はそのジャンルに精通しており、買主はこれからそのジャンルについて学んでいこうとしているケースが大半です。

売主はどういったキーワードがCV(コンバージョン)に結び付くか把握しているので、売却したサイトと同じキーワードを狙った記事を売主が書くと、買主に直接影響を及ぼすことになります。

そもそもこういった行為が許されるのであれば、買主はサイトを購入しません(できません)。

買主が安心してサイトを購入できるように、サイト売買では競業禁止規定が設けられているわけです。

競業の範囲は?

競業禁止規定の「対象サイトに類似したサイト」は抽象的な表現で、案件によっては、都度調整されるものでもあります。

例えば、売主が債務整理の分野に精通しており、自己破産や過払い金、任意整理といった債務整理を構成するカテゴリごとにサイトを保有していたとします。

売主が過払い金のサイトを売却しようとしたとき、競業禁止規定によって自己破産や任意整理のサイト運営まで禁止されるのは売主にとって本意ではありません。

この場合、落としどころとしては、キーワード単位での制約になります。

過払い金のサイトで上位表示しているキーワードをサーチコンソールなどから洗い出し、それらのキーワードについて売主が別サイトで上位表示させることを禁止します。

仮に売主が別サイトで上位表示させることがあれば、該当するページを安価な金額で買主のサイトにリダイレクトするようにします。

契約書では、
「甲(=売主)は、譲渡日から●年間、別紙記載のキーワードについて検索エンジンGoogleにおいて上位100位以内に表示されるページ(以下、「競業ページ」という。)を含む、本サイトと競業するサイトの制作及び運用を行わない。乙(=買主)の求めがあった場合、甲は1週間以内に、競業ページを1ページ●円の対価と引き換えに乙に譲渡し、競業ページのURLから301リダイレクトをかけるものとする。」
といった内容になります。

ジャンルで制約をかけているケースがほとんどで、それで問題は発生していません。

しかし、サイト運営者によっては得意なジャンルがあり、そのジャンルのサイト運営を禁止されると困ることもあるため、そういった場合はキーワード単位で制約をかけることになるわけです。

売主が競業した事例

売主が競業したとして、裁判で争われた事例がありますのでご紹介します。

詳細は裁判所のページからたどれますが、担当された弁護士の方が概要を説明されているので、そちらを引用させていただきます。こちらを上から順に目を通す方が早いです。

判決の内容をみると、
・譲渡時に売主がサイトから一部のファッションブランドの情報を削除した
・1ヶ月の引継ぎ期間中は営業休止するよう売主が買主に求め、契約書にその旨の規定を盛り込んだ
・営業休止期間中に売主が既存顧客にメールし、新たにサイトを開設したことを伝えた
(譲渡時に削除したファッションブランドを新しいサイトで扱っていた模様)
・買主が事業を開始した時点で、売上は約4分の1から6分の1程度になった
(譲渡前は月額平均90万円ほどだった売上が、譲渡後には月額平均22万円ほどになった)
・買主は600万円ほどの損害が発生したと主張したが、買主の運営手腕・運営努力も疑問視され、最終的に認められた損害額は弁護士費用込みで約200万円

とのこと。


ここまで露骨なのも珍しいですが、いかがでしょうか?

判決を読んでいてやはり引っかかるのが、引継ぎ期間中は営業休止する規定が契約書に盛り込まれていたこと。

ECサイトは、アフィリエイトサイトと異なり、顧客対応から商品発送までの一連の業務を買主は把握しなければなりません。把握すべき内容が広範囲にわたります。

実際に業務を回しながら、一通りの流れを体験しないと、引継ぎすらできないと考えています。

にもかかわらず引継ぎ期間中は営業を休止するという規定。不可解そのものです。

最後の砦は契約書

サイト売買は契約書ありきの世界で、競業禁止規定含め重要事項は契約書に盛り込まれているので、問題発生時は契約書にもとづいて争っていくことになります。

今回の判決のなかにありましたが、売主の「契約書の文面を良く理解していませんでした」みたいな言い逃れはできません。そのようなことを言う人は、そもそも商取引をおこなうこと自体、控えた方が良いです。

競業禁止規定は解釈が曖昧になることもあるため、売主が同じジャンルで今後もサイト運営するのであれば、できるかぎり具体的に規定するのが望ましいです。

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