あなたの死後、サイトは消滅する!?ASP、ドメイン、サーバーの相続対策
サイト運営者にとって想像することすら難しいテーマですが、ある日突然、不慮の事故に遭遇する可能性もゼロではありません。
実際に、弊社の提供しているサイト売買仲介サービスでも、相談を受けている最中に、売主の方が突然亡くなられて、ご家族から状況確認の問合せがきたこともあります。まだ若い方だったので、こちらも非常に驚きました。
この記事では、あなたの死後、サイトがどうなるのかを説明します。
また、遺族がサイトを引継ぐ場合、利用している会社によっては引継ぎができたり、できなかったりするので、その辺のことについてもまとめました。
サイト運営者が亡くなると・・・
サイト運営者が亡くなって、何も手続きをしないでいると、ドメインやサーバーの契約を解除されます。
多くの方は代金の支払いをクレジットカードによる自動更新にしていると思います。
運営者が亡くなると、遺族が銀行に届け出をするなどして、運営者の銀行口座が凍結されます。
凍結された口座は入出金が一切できなくなるため、カード会社が代金を引き落とすことができなくなります。遺族が故人のクレジットカードを停止し、カードが早々に使えなくなることも十分考えられます。
いずれにせよ、代金を回収できないドメイン管理会社やレンタルサーバー会社は、メールでサイト運営者に連絡します。その後、しばらく待っても代金が支払われないと、アカウントは凍結されたり解除されたりすることになります。
場合によっては、郵送で通知してくれることもありますが、督促を受けた遺族は、通常、故人が利用していた契約を解除するように行動します。
クレジットカードによる自動更新でない場合も、内容がよく分からない請求書を受け取った遺族は、契約を解除します。
つまり、遺族にあらかじめ契約内容を伝えておかない限り、サイト運営者の死後ほどなく、サイトは消滅することになります。
サイトを引き継ぐには?
サイトは、預貯金や不動産同様に、重要な遺産(資産)です。
もしもの場合、家族や身近な人に引き継いでもらうのが理想です。
ただ、そもそも契約を引き継ぐことができるのかといった問題があるので、代表的なレンタルサーバー会社、ドメイン管理会社、ASPに問合せてみました。
質問した内容は以下のとおりです。
”お世話になっております。自身の万が一の場合に備えて、準備をしておきたいと考えております。もし自分が亡くなった場合、自分のアカウントを家族に引き継がせることはできるのでしょうか?”
各社の回答を、サーバー、ドメイン、ASP別に掲載します。
サーバー編
・エックスサーバー → 引継ぎ可
”お問い合わせいただきありがとうございます。
ご契約名義を他の方(法人・個人)へ譲渡される場合ですが
基本的には現在のご契約者様の同意が必要です。
この【現在のご契約者様の同意】ですが
当サービスの所定の書面に対しての署名・捺印
、
および「発行から3ヶ月以内の印鑑証明書」の提出をもって
同意を得たものと判断しております。
ご契約者様がお亡くなりになった場合ですが
当然ながら印鑑証明書はご提出いただけません。
その場合、ご遺族の方から以下の書面をご提出いただくことで
【現在のご契約者様の同意】と同様の許可を得たものとして
ご契約名義を変更いたします。
・当サービスの所定の書面に対しての署名・捺印
(ご遺族の方の署名・捺印)
・ご遺族の方の発行から3ヶ月以内の印鑑証明書
・戸籍謄本など、ご契約者様とご遺族の方の続柄を示す公的な書面
万一の場合に備えていただくということなら
当サービスの連絡先(本メールアドレス)、会員ID、サーバーIDなどの情報を
ご家族の方にあらかじめお伝えいただくなど
ご検討いただければと存じます。
ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
何卒よろしくお願いいたします。”
引継ぎは可能とのことです。アフィリエイターの方含め、Xサーバーを利用している方は多いと思います。
・さくら → 引継ぎ可
”契約者が死亡した場合は、ご家族に相続できる場合があります。
ご家族の方より弊社カスタマセンターへお電話にてご依頼ください。
カスタマーセンター
TEL:0120-775-664
受付時間: 10:00~18:00 (土日祝日、当社指定休日は休み)
※ お問い合わせの前に
「会員ID」「契約者名」「住所」「電話番号」「契約者の生年月日」「メールアドレス」 をご確認ください。”
以下ページに記載されていましたが、引継ぎは可能のようです。
さくらで管理しているドメインも同様の扱いになります。
(参考)さくらのサポート:「契約者が死亡した場合の相続について」
・カゴヤ → 引継ぎ可
”平素は当社サービスをご利用いただき誠にありがとうございます。
ご連絡をいただきましてありがとうございます。
ご利用アカウントのアカウント名、パスワードを
ご家族にお知らせくださいましたら可能です。
ご契約者様のお名前が変更になる場合、
◇コントロールパネル > 一般 > ユーザー情報 > ユーザー情報変更
よりご変更くださいますでしょうか。
お支払い方法につきましても変更される場合は、
◇コントロールパネル > 一般 > ユーザー情報 > お支払い方法変更
よりご変更くださいますでしょうか。
よろしくお願いいたします。”
こちらも問題なく引き継げるようです。
・ロリポップ → 引継ぎ不可
”この度はお問合せいただき、誠にありがとうございます。
お問合せいただきました件について
もしご契約者様がお亡くなりになった場合、恐れ入りますが
アカウントの引き継ぎ(相続含む)を行うことはできません。
ご家族の方からのご連絡であれば、《 契約終了 》については、
必要書類を弊社へお送りいだくことで、承ることが可能でございます。
なお、事前にユーザー専用ページより名義変更の依頼をいただければ、
契約譲渡という形でご家族の方に譲渡することは可能でございます。
もし契約譲渡をご希望の場合は、ユーザー専用ページより
契約譲渡を希望、ということをお送りいただければと存じます。
ご案内は以上となりますが、ご利用に関してご不明点や
お困りの点等ございましたら、お気軽にお問合せくださいませ。
今度ともロリポップ!をどうぞよろしくお願いいたします。”
どの会社も引継ぎ可能だろうと思っていましたが・・・まさかの引継ぎ不可。
万一のことを考えると、ロリポップでサイトを運営するのはリスクがあります。
ドメイン編
・お名前 → 引継ぎ可
”いつもご利用いただき、まことにありがとうございます。
お客様のお名前ID、パスワードをご家族の方にお伝えいただければ
可能でございます。
情報修正は以下手順にそって、お手続きをおこなってくださいます
ようお願い申しあげます。
1. 会員情報修正
http://www.onamae.com/guide/details.php?g=25
※英語表記、日本語表記の住所番地や電話番号をご確認くださいませ。
2.Whois情報変更
http://www.onamae.com/guide/details.php?g=21#03
※Whois情報が会員情報と同一の場合は、登録者情報の変更、管理担当者
情報の変更、経理担当者情報の変更、技術担当者情報の変更すべてに
チェックを入れ、各入力フォーム上の会員情報コピーにて情報修正が
一気に行えます。
※ドメインWhois情報変更を行われましても、Whois情報公開代行は
引き続き設定されております。
3. 登録者名義変更
http://www.onamae.com/guide/details.php?g=21#02
登録者名義変更手続きでは、旧登録者(あるいは管理担当者)様と
新登録者様のメールアドレス宛に本人確認のメールを送信いたします。
承認メールをご確認のうえ、承認手続きを行ってくださいますよう
お願い申しあげます。
※変更前後でメールアドレスに変更がない場合は同一のメールが2通、
同一メールアドレス宛に送られています。
件名:[お名前.com]登録者名義変更 承認依頼
From: "お名前.com"
承認お手続き後、数時間以内に登録者手続きが完了いたします。
今後ともお名前.comをよろしくお願いいたします。”
・スタードメイン → 引継ぎ可
”お問い合わせをいただきまして、ありがとうございます。
ご登録名義の変更に関しましては
ネットオウルではご登録の決済情報について、
下記のとおり「ご登録後に変更可能な箇所」に制限を設けております。
(ご参考:決済情報について)
http://www.netowl.jp/man/man_regist_payment.php#01
決済情報にご記載のご契約者様名義やその区分につきましては、
管理画面からの変更を行うことができません。
上記何卒ご理解くださいますようお願いいたします。
なお、上記を踏まえても強く名義変更を希望される場合は
特例的に名義の変更をお受けすることも可能ですが
「履歴事項全部証明書」や「印鑑証明書」、
また「弊社が指定する書面への記名・捺印」など書類をご用意いただき、
それを弊社へ郵送していただくという対応が必要でございます。
※ 郵送に必要な手数料などはお客様側でのご負担となります。
上記内容をご確認いただきまして、名義変更を希望される場合は
お客様の【ネットオウルID】をご明記の上、
改めてそのようにご連絡くださいますでしょうか。
ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
何卒よろしくお願い申し上げます。”
ドメインについては2社のみ確認しました。
弊社はサイト売買の仲介をしているので、ドメインを第三者に譲渡する手続きを日常的に目の当たりにしていますが、これまでの経験からしても、スタードメインを除いて、契約を第三者に譲渡できないようなことはないかと思います。
第三者への譲渡ができないスタードメインも相続の場合はOKのようです。
手続きの違いはありますが、家族への譲渡は可能と考えて問題ないかと思います。
さて、問題になるのが、ASPの引継ぎです。早速みていきましょう。
ASP編
・A8 → 引継ぎ不可
”お世話になっております。A8.netサポートセンターでございます。
この度はお問い合わせありがとうございます。
お問い合わせの件でございますが、A8.netではご登録後の名義変更は
承っておりませんので、メディア会員様がお亡くなりになったことを
確認した場合は、該当アカウントを退会させて頂く流れとなります。
恐れ入りますが、あらかじめご了承ください。
また、その際の成果報酬のお振込みは遺産の相続となるため、
相続人の方からご連絡を頂いた場合に所定のお手続きを経て
お支払いを行なっております。重ねてご了承くださいますよう、
お願いいたします。
ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
今後ともA8.netをよろしくお願いいたします。”
引継ぎ不可でした。故人のアカウントは退会扱いになるので、新たにアカウントを作成する必要があります。
・アクセストレード → 引継ぎ不可
”日頃アクセストレードをご利用くださいましてありがとうございます。
アクセストレードパートナーサポートです。
お問い合わせの件につきまして、
誠に恐れ入りますが、弊社サービスの権利譲渡は
パートナー利用規約において禁止しております。
口座はご本人様のもののみ登録可能といたしているため、
サイトの運営者名と口座名義は一致が必須ですが
運営者名の変更は原則承っておりません。
もしサイトの管理者および口座名義の変更が必要となる場合は、
新たな管理者氏名で新規アカウントを作成いただけますでしょうか。
その際、ご登録いただくサイトURLは最後尾「/」を除くなど
URLが重複しないようご調整の上、申請くださいませ。
なお、新規アカウントの登録が完了されましたら
旧管理者アカウントは、管理画面よりサイト削除いただくか
自主退会を行っていただけますようお願いいたします。
▼参考FAQ
Q:登録したサイトを削除するには?
https://www.accesstrade.ne.jp/faq/after/detail/439
Q:退会したいんだけど…
https://www.accesstrade.ne.jp/faq/after/detail/225
また、万が一何かやむを得ない事情で急な変更が必要となった場合は、
ご本人様から直接こちらのサポート窓口まで
ご連絡をいただけますようお伝えください。
何卒、よろしくお願い申し上げます。”
こちらも引継ぎ不可でした。アカウントを作り直さなければいけません。
・バリューコマース → 引継ぎ可
”バリューコマース カスタマーサポートでございます。
お問合せいただき誠にありがとうございます。
アカウント所有者様の逝去にともなうご家族の方への名義変更に
つきましては下記、書類のご提出により可能となっております。
・継続届出書
・現契約者の住民票除票または除籍謄本 原本
・相続人の印鑑証明書 原本
ただしではございますが、こちらについては現時点での対応となっており、
今後変更となる可能性もございますので、予めご了承のほどお願い申し上げます。
その他、ご不明な点等ございましたらお気軽にご相談下さい。
それではどうぞよろしくお願いいたします。”
現時点では、引継ぎ可能とのことです。
・レントラックス → 引継ぎ可
”いつもお世話になっております。
お問い合わせをいただき、誠にありがとうございます。
アカウントの引継ぎにつきまして、
新たにオーナーとなる方に規約同意いただき、
お振込先の口座名義人を新オーナー様にご登録いただけましたら
可能でございます。
ご不明点等ございましたら、お気軽にお問い合わせくださいませ。
引き続き、何卒よろしくお願いいたします。”
何の問題もなく、引継ぎ可能とのこと。他ASPもこうあって欲しいです。
・アフィリエイトB → 引継ぎ不可
”お世話になっております。
アフィbパートナーサポート運営事務局でございます。
平素はアフィbにお力添え頂き誠にありがとうございます。
お問い合わせ頂いた件につきまして
大変恐縮でございますが現時点では出来かねますが
万が一そのようになった場合はご家族やご親族の方より
お問い合わせ頂ければ対応を検討させて頂きたく存じます。
どうぞよろしくお願い致します。”
引継ぎ不可だが、そのときは検討しますとのこと。
・Amazon → 引継ぎ可
”Amazon.co.jpアソシエイト・プログラムにお問い合わせいただき、ありがとうございます。
お問い合わせの件について、アソシエイト・プログラムの各登録情報の変更は以下のURLより行っていただくことができます。
支払方法変更ページ
https://affiliate.amazon.co.jp/home/account/payment/type
支払先情報変更ページ
https://affiliate.amazon.co.jp/gp/associates/network/your-account/payee-info.htm...
その他にもご不明な点がございましたら、ご遠慮なくお問い合わせください。
アソシエイト・プログラムをご利用いただき、ありがとうございます。
Amazon.co.jp カスタマーサービス アソシエイト・プログラムスタッフ
ご利用ありがとうございました。”
引継ぎ可能です。
・楽天 → 引継ぎ不可
”日頃、楽天アフィリエイトをご利用いただきましてありがとうございます。
楽天アフィリエイトのお客様担当でございます。
お問い合わせいただいた件ですが、会員ID(アカウント)は、
規約に定めているとおり譲渡等は不可となります。
・楽天会員規約
https://corp.rakuten.co.jp/terms/
引き続き、楽天アフィリエイトをよろしくお願いいたします。”
こちら引継ぎ不可でした。
ASPに関しては、引継ぎ可と引継ぎ不可が半々といった感じです。
引継ぎ不可の場合、遺族が新たにアカウントを作成して、タグの張り替え等の作業を行うことになります。
特単をもらっている人も多数いるかと思いますが、特単が引き継げるかどうかは、アカウントの引継ぎの可否とは別に確認する必要があります。
ASPによって対応が変わり、例えば、ASP大手のA8では、サイトではなく、アカウントに対して特単が適当されているため、アカウントを付け替えた場合、再度特単を目指して、ゼロから実績を積み重ねていくことになります。
広告主によっては、交渉次第で、始めから特単を適用してもらうこともできますが、例外と考えておいた方が無難でしょう。
なお、A8からの回答のなかにもありましたが、未払いの成果については、相続財産となります。相続人からASPに連絡しなければいけません。詳しい手続き内容については、この記事では割愛します。
何をすべきか?
家族のために保険に加入しているサイト運営者は多くても、サイトの引継ぎについて対策をしている人はほとんどいないのではないでしょうか?
サイトの収益が保険金をはるかに上回る人もいると思います。何も対策をしておかなければ、サイトは消失します。非常にもったいないです。
そうならないために、何をすべきか?
最低でも以下の情報を遺族に残しておくべきです。
・運営しているサイトの一覧
・各サイトで使用しているドメイン管理会社・レンタルサーバー会社・ASPその他取引先
・各サイトの収益レベル(例.月1万円なのか100万円なのか) ※対応の優先順位をつけるため
・各サイトの運営をどうすべきか?遺族が継続して運営することは可能なのか?不可なのか?
・可能な場合、継続して運営していくためのマニュアルを作成しておく。ASPの引継ぎが不可の場合、張り替えの手順書等の作成も必須。
・不可の場合は売却可能なのか?可能であれば、誰に売却すべきか?既存の取引先等にあたる方がよいケースも考えられる。サイト売買仲介会社に売主の代わりに売却を依頼するのも一つの方法です。
なお、各サービスのID・パスワードを一覧化しておくことが大前提になります。
いかがでしたか?
面倒な作業ではありますが、1年に1回でいいので、こういった棚卸しをしておくことを強くオススメします。
1度棚卸しをすれば、あとは毎年メンテナンスをしていくだけなので、思ったほど大変ではないかと思います。